テナントビル高圧契約・電力切替の削減事例紹介(各テナントへの検針請求はどうなる?)

こんにちは!

大阪市の天神橋筋六丁目で賃貸管理やビルメンテナンスを行っている株式会社トライアスです。

新電力への切り替えを行った場合に、商業ビル(テナントビル)やオフィスビルでメーター検針をしているような場合は、どうなるのかについて、切り替え事例とともに紹介いたします。

昨今、新型コロナウイルスの影響もあり、テナントさんと痛みを分かち合いながら店舗を継続して借りてもらうためにどうしたら良いかという視点のお話もあります。電気料金の効率化のためにぜひご活用ください。

 

目次

テナントビルで自主検針(管理会社検針含む)している場合はどうなるの?

テナントビル・オフィスビルの高圧電力切り替えで案件で一番多い質問がこちらです。

オーナー様(管理会社様)が電力会社と契約して、高圧受電で一括お支払いをしていて、

各テナント様へは毎月小メーターなどを検針して、賃料と一緒に請求しているようなパターンになります。

検針に関して先に結論を書くと、各子メーターの検針業務は電力会社の切り替えをしても、変わらず必要です。

その数値が無いと、テナントへの請求単価が計算できないためです。

 

ただし、電力の切り替えは無駄ではありません。

 

検針請求の場合は地域電力会社(関西電力など)と同じ料金単価を設定していることは少なく、キュービクルのメンテナンス代や検針業務にかかる人件費などの経費を考慮して、1kwあたりの単価を少し高めに設定していることが多いのではないでしょうか。

つまり、少しオーナー側の利益がのっているパターンです。

 

「電気代はよく使ってもらったほうが請求金額も上がるし、自由化で切り替えて安くする必要はないんだよねぇ」

管理会社の方とお話するとよく聞く話ですが、その認識は間違っています。

 

電力自由化に伴う電力会社切り替えで安くなる(料金単価の見直しをする)のは、高圧の一括支払いをしているオーナー様(管理会社様)の部分だけです。(下に関係図を描いてみました)

各テナント様のご請求の契約はそのまま、何も変わらず続けていただくことができます。単純にもらう金額は変わらず、払う金額だけ下がり、経費の削減=収益性向上になります。(検針作業も変わらず必要ではありますが・・・)

もちろんテナント様還元で、電気料金単価を安くして、値下げによる退去防止・抑制の手段として使うこともできます。

下がった電気代で、共用部の清掃を増やして美観維持に使うこともできます。

キュービクル設備がある高圧系の電力の方が電気使用量が多いため、コストダウンのメリットも大きいです。

ぜひ一度オフィスビル・商業ビル(テナントビル)の電力切り替え、ご検討してはいかがでしょうか。

高圧契約  サービス説明図

 

ただし、テナントへの高すぎる金額設定には要注意!

オフィスビル・商業ビル(テナントビル)の検針請求での注意点です。

地域電力会社(関西電力など)の一般的な電気代単価からあまりにも逸脱した金額設定はおすすめできません。

過去に、こんな訴訟事例があります。

 

1:札幌・薄野(ススキノ)飲食店が「実費の2倍近い電気料金を支払わされた」として、

  料金返還を求めた訴訟では、最高裁が2013年の決定で家主側の上告を棄却。

  家主側に約1020万円の支払いを命じた札幌高裁判決が確定しています。

 

2:宮崎市のテナントビルに入居している企業が、家主を相手取り、

  電気料金の過払い金の返還を求めた訴訟で、東京地裁が2017年9月、

  実費を超えて支払った計 約257万円の返還を命じる判決を言い渡しています。

 

裁判では「不動産業界の商習慣として、キュービクルなど電気設備のメンテナンス費用が電気料金に含まれている」説明を大家側がしていましたが、それらは本来、共益費で含まれているものであり、当然に電気料金に上乗せしても良いというわけではない、という話になっています。

契約書に事前に明記されている場合は別ですが、「実費」とだけ書いて、地域電力会社の設定料金と比べ、あまりにも不当な金額設定しているオーナー様は訴訟リスクを考慮し、見直すことも考える必要があります。

その際は、新電力への切り替えをあわせて行うことで、オーナー様の負担軽減につなげることができます。

すべてを管理会社まかせにしすぎず、きちんとオーナー様も状況を把握することが大切です。

 

 

切り替え事例のご紹介-テナントビルの高圧一括受電

今回は大阪府大阪市のテナントビル高圧一括受電を電力会社切り替えした実例をご紹介いたします。

【物件概要など】

5階建てテナントビル。エレベータあり。テナントは各フロア1件。店舗ビルです。

廊下や階段のスペースは狭く、ほとんどテナント用の貸室スペース。

ざっくり分類すると、飲食店や飲み屋さんのビルです。

 

【年間使用料】

高圧電力AS-TOU:年間で約210万円

【実際の切り替えまでのスケジュール】

こちらは昨年の話になります。

お見積り依頼:7月上旬

お見積提出とご説明および検討:7月中旬

お申込み:7月下旬

電力会社の切り替え手続き後、トライアス電気開始日:9月1日

初請求書送付:10月20日頃(9月分使用料の請求)

 

【トライアス電気での削減額】

年間 約40万円の削減になりました。約18.5%の削減です。

基本的にトライアス電気で高圧の削減額をご提示する場合は、料金単価は触らず、基本料金をぐっと下げるお見積りで提出します。

そのため、もしデマンド数値が上がってしまっても、高くなる料金を抑えられる傾向です。

デマンド数字に関してはまた別の記事で小ネタ解説をしようと思いますので、今日はあまり触れず・・・。

金額感覚などは過去記事で紹介したような低圧系と比べると違いがよく伝わると思います。

 

まとめ

今回の小ネタは「テナントビルの個別検針請求の場合どうなるの?」という話でした。

もちろん、ビルによっては1Fのテナントさんだけ直接電力会社と契約しているとか、いろいろなパターンがあります。

状況に応じて契約を見直しましょう。

よくわからない方はお気軽にご相談ください。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

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この記事を書いた人

中谷
中谷
普段は賃貸不動産の管理業務を主軸に、ビルメンテナンス業務の改善提案、電気代やガス代の見直し提案しています。
マイベストプロ大阪でも紹介いただいています
【保有資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
2級FP技能士・基本情報処理技術者