【1棟オーナーへ・図解有】無料インターネット設備の種類や違い

こんにちは!

大阪市の天神橋筋六丁目で賃貸管理や電気小売、ビルメンテナンスを行っている株式会社トライアスです。

今回はマンション向け全戸無料インターネット設備の仕組み解説記事を追記・修正して掲載いたしました。

以前、マイベストプロ上でアップした記事の修正にはなりますが、向こうでは書けなかった、弊社管理物件に実際に導入したエピソードも追記しています。

 

多くの人が『無料(Wi-Fi)インターネットを導入するためには、何から手をつけて良いかわからない』と感じているようです。専門用語を極力使わず、ざっくり違いを解説していきます。

また、記事の中盤でタイプ別にイメージ図を描いてみましたので、そこを見てもらえばある程度イメージがわきやすいと思います。

 

全戸一括インターネット設備の話なので、今回はあまり触れないですが、
全戸ではない、個別インターネット設備とは、戸建てでNTT等にインターネット回線契約をするように、マンションの居住者が個別に回線契約を申し込みする方式です。
費用も入居者持ちの、いわゆる従来の個別加入という方式ですね。

ネットワークのイメージ図

そもそも、インターネット無料設備(物件)とは

不動産オーナーが全戸分のインターネット回線費用及び通信設備を契約し、毎月費用を払い、
入居者には無料(有料の場合もあります)にて、インターネット回線サービスを提供する仕組み(になっている物件)のことを言います。
オーナー費用は家賃や共益費に上乗せすることもありますが、他物件への価格優位性確保のため、上乗せしない場合もあります。

特に単身向け物件に多く設備されている傾向で、新築住宅には最初から設備されていることが多くなってきています。
また、ポータルサイト(ホームズやスーモなど)にも「インターネット無料」という設備チェックボックスがあり、求める方がポチッと押すと、その時点で設備のない物件が検索結果から外れることにもなってきています。

今後、品質の高いインターネット設備があるかないかという点は(特に立地だけで決まる都市部の駅前物件以外において)物件差別化に繋がることが考えられます。

 

急増!?無料インターネット設備によるクレームとは

そんな便利な設備にも、悪いところが当然あります。

時事ネタになりますが、新型コロナウイルスの感染拡大により、テレワークやWEB会議、オンライン授業など、インターネットを使い動画や音声をリアルタイムで送受信したり、業務用のデータを家庭で編集するなど、大容量のデータをインターネットでやり取りする機会が多くなってきています。
また、在宅時間が増え、ネットショッピングや動画配信サービスで余暇を楽しむ方も増えています。

そんな中、速度の遅いインターネット設備を使用している物件では「動画の配信が止まる」「速度が遅い」「声と画像がずれる、飛ぶ」など、クレームの声が上がってきていると聞きます。

一昔前、建物を建てる際のテレビの配線工事を割安にする代わり、(今となっては)低速のインターネット回線を付属させるサービスが広がった部分もあり、時代に合わせて、建物全体のインターネット環境の見直しをするタイミングになってきているとも言えます。

 

できるだけ、入居後のクレームの元は改善していきたいですよね。
なので、導入(更新)の際は、ある程度の違いをきちんと把握して、需用と物件に合ったものを導入(更新)していきましょう。

実際、とあるポータルサイトの社員さんに聞いた話では、速度のかなり遅い無料インターネット設備は、ポータルサイトへのクレームまでつながっている事例があるらしく、ポータルサイト側も困っているという話を聞いています。
例:「無料インターネット物件と見て入居したのに遅すぎて使い物にならなくて、結局自分で別契約をした」など
(2019年の夏頃に聞いた話なので、今は、よりひどくなっているかもしれません)

 

 

入居者に人気の設備ランキングでも上位を維持

弊社も過去に2回ほど記事として取り上げていただいた「全国賃貸住宅新聞社」より毎年「入居者に人気の設備ランキング」が発表されています。

その記事によると、インターネット無料設備は2020年10月発表分で6年連続1位となっており、単身・ファミリーともに1位という、不動の地位を確保しつつあります。

そんな中、「無料インターネット設備あります!」と謳っている物件が増加し、次は通信の品質が求められてきているのです。

普及時期の今は、攻めの設備でもあるし、守りの設備でもあるということですね。

 

【2020年度版】この設備があれば周辺相場より家賃が高くても決まるTOP10

単身者向け物件ファミリー向け物件
1位インターネット
無料
1位インターネット
無料
2位エントランスの
オートロック
2位宅配ボックス
3位宅配ボックス3位エントランスの
オートロック
4位浴室換気乾燥機4位追い焚き機能
5位ホームセキュリティ5位システムキッチン
6位独立洗面台6位ホームセキュリティ
7位24時間利用可能ゴミ置き場7位浴室換気乾燥機
8位システムキッチン8位防犯カメラ
9位TVモニター付きインターフォン9位ウォークインクローゼット
10位エレベータ10位24時間利用可能ゴミ置き場

出典:全国賃貸住宅新聞2020.10.19

 

全戸インターネット設備はどうやって導入しているのか

サービス契約先は主にマンションISP業者と言われる業界の会社になります。

【マンションISPとは】
ISPはInternet Service Provider(インターネットサービスプロバイダー)の略称で、
インターネットへ接続するには、「物理的な回線工事」と、「通信をインターネットへ接続させる部分の取次業務」を行っている会社(プロバイダーといいます)が必要で、両方をマンション向けにワンストップサービスで提供している会社のことを指します。

物件を見てもらい、必要な工事内容を確認し、毎月の費用を確認し、契約して設置工事をするという流れで導入します。

【入居者からみた全戸導入型のインターネット設備のメリット】
・入居直後からインターネットが使用可能
(契約プランによっては、無線(Wifi)も設備に含まれていることもあり)
・仮に無料ではなく費用のかかるプランでも、個別加入よりは安い

【デメリット】
・インターネット設備の品質によっては、遅いことがクレームの火種になる
・個別加入の場合は受けられる携帯電話の割引サービスなどが、契約名義がオーナーのため受けられない
・部屋内にルーターなどを設置する場合、退去時に持っていかれることがある

【図解あり】マンションISPサービス4つの種類や違いについて

全戸向け(無料)インターネット設備の中にも種類や違いが存在します。
大きくわけて4種類あります。

・光回線-LANケーブル型
・光回線各戸専有型
・同軸ケーブル型(テレビ線)
・共用部にWi-Fiアンテナ設置型

この辺からだんだん、読みすすめるのがしんどくなると思いますので、
配線の流れや構成を極力専門用語使わず、ざくっと絵にしてみました。

・光回線-LANケーブル型
光回線-LANケーブル型

・光回線各戸専有型
光回線各戸専有型

・同軸ケーブル型(テレビ線)
同軸ケーブル型

・共用部にWi-Fiアンテナ設置型共用部にWi-Fiアンテナ設置型

さて、これらをどうやって選ぶのか、オススメをざっくり書いてしまうと・・・

品質も求める、でも費用中程度が良い!なら光回線-LANケーブル型

費用はかかっても良い、高品質を選ぶ!なら光回線専有型

宅内工事はできるだけ避けたい!かつRCやSRCの建物なら同軸ケーブル型

宅内工事はできるだけ避けたい!
もしくは費用を極力抑えたい!かつ木造やの鉄骨アパート(28戸以下)なら共用部Wi-Fi型

さて、少し詳しく見ていきましょう。

【光回線-LANケーブル型】
最もマンションISPで一般的なモデル。サービス提供会社も多い。
回線速度と安定性が比較的高い代わりに、各部屋内で工事が必要。
費用も中程度かかる。
同じマンション内で同一時間帯に一斉につなぐと通信速度が遅くなったりする。

松竹梅でいうと、竹モデル。

【光回線各戸専有型】
最も高速通信、かつ安定性が高い。
費用が最も高い。(光回線-LANケーブル型の数倍かかったりも)
専有型のため、別の部屋の使用状況の影響を受けない。

松竹梅でいうと、松モデル。

【同軸ケーブル型】
すでに敷設されているテレビ線に相乗りさせるイメージのため、
初期の工事費が安い。また各部屋の工事が不要。
配線種類の関係上、通信速度に上限がある。
将来、どんどん通信速度が求められるようになると、少し厳しくなってくるかも?

松竹梅でいうと、竹モデルの変化球。

【共用部Wi-Fiアンテナ設置型】
小規模アパート限定の方式。導入が簡単。
屋内ではなく、外から電波を飛ばすため、壁の材質や部屋の作りによっては繋がりにくい。
主に木造や軽量鉄骨の物件で、事前の電波調査必須。(サービス提供会社が行ってくれます)
各部屋への工事は不要で、初期工事費も安い。
2~4部屋で1つの無線ルータを共用するため、隣接する部屋の使用状況によっては通信速度が遅くなったりする。
機器がすべて共用部のため、メンテナンスが容易。

松竹梅でいうと、梅モデル。

すでに賃貸として運用している建物の場合、入居者がいる部屋に勝手に入ることはできないため、各部屋内の工事調整が発生するモデルは、かなり手間になります。
物件状況と手間、費用(イニシャルおよびランニングコスト)にあった方式を選べると良いですね。

 

実際に共用部Wi-Fiアンテナ設置型を管理物件に導入した事例

バッファローアパートWifi

弊社の管理しているアパートにすでに入っていたインターネット設備が遅く、動画の視聴などには適していない話が以前からありました。

そこで、極力費用を少なく、回線速度は事前調査してある程度確認した上で、部屋内工事もなしで導入できるバッファローさんのアパート向けWi-Fiをオーナーに導入提案し、実際に施工いたしました。

工事提案時は1室空き部屋があり、間取りはすべて同じだったので、部屋内で電波がどの程度飛ぶのか調査をできたので、導入後のクレーム等は今の所(導入して2年程度)ありません。

現状、満室運営できているので、オーナー様にもご納得いただけており、安心しています。

【物件とか概要】

・2階建て10室のアパート

・初期工事費用として約35万円

・ランニングコストとして保守費用込みで、1200円程度/1部屋

※初期工事費用を6年の分割料金として契約することも可能なことが嬉しい!

(うちの管理物件導入時は分割払いで初期0円で工事の方向になりました)

 

インターネット設備 導入後のトラブルについて

上記の事例とは関係なく、一般的な話になります。

冒頭にも少し書きましたが、機械ものですし、もちろんトラブルもあります・・・。

 

1:Wi-FI機器等持ち出しトラブル
主流な部屋内に機器を設置するタイプの場合、現在は改善されていることが多いのですが、過去はWi-Fiルータを間違って退去時に持っていくトラブルがおこりました。
そこで登場したのがこちら。

情報コンセント 画像は因幡電機産業様より引用させていただきました。

情報コンセントといいます。
「Wi-fiの機械をコンセントに一体化して埋め込んでしまえば、持ち出されないよね!」という画期的なかたちです。
あと、配線がごちゃごちゃしなくて、スッキリするというメリットもあります。

ただし、アンテナの位置がコンセント部分に固定されるため、このコンセントから遠い部屋は少し電波が弱くなる傾向もあります。

現在は部屋内工事をする方法の場合、情報コンセントを取り付けて導入することが多いです。

2:通信速度の品質のクレーム
冒頭にも記載した通り、通信速度と品質も求められることがあります。

なので、どの方法がコストと合わせて自分の物件にあっているか、きちんと調べてから導入しましょう。

目安としては動画視聴の場合

【Youtubeの推奨環境から抜粋】
動画の綺麗さ:推奨される持続的な速度
  4K :20 Mbps
HD 1080p : 5 Mbps
HD 720p :2.5 Mbps
SD 480p :1.1 Mbps
SD 360p :0.7 Mbps

Web会議などで最近流行りのシステム(Zoom)の場合
【Zoomの推奨環境から抜粋】
動画の解像度:推奨される持続的な速度
・1対1ビデオ通話
HDビデオ  :1.2Mbps
高品質ビデオ:0.6Mbps

・グループビデオ
HDビデオ  :1.5Mbps
高品質ビデオ:0.6Mbps(上り)1.2Mbps(下り)

※上りはアップロード、下りはダウンロードの速度
※2020年年末情報

まとめ

・全戸無料インターネット設備の需要がさらに高まる傾向にある

・さらに、何でも良いというわけではなくある程度の品質が求められ始めている

・一昔前のテレビ配線と抱き合わせたインターネット設備環境だと、速度や品質が悪く、見直しの時期にきている

 

・全戸インターネット無料設備!といっても種類があるので、ざっくり違いを把握して、物件ごとのニーズを考えて選びましょう

 

一棟オーナーによく読まれているこちらのコラムもどうぞ!

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

中谷
中谷
普段は賃貸不動産の管理業務を主軸に、ビルメンテナンス業務の改善提案、電気代やガス代の見直し提案しています。
マイベストプロ大阪でも紹介いただいています
【保有資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
2級FP技能士・基本情報処理技術者