高圧一括受電契約と最高裁判決の紹介

こんにちは!

アクセスいただきありがとうございます。

大阪市の天神橋筋六丁目で賃貸管理やビルメンテナンス、電気料金削減提案を行っている株式会社トライアスです。

5月も半ばを過ぎ、不動産業界の繁忙期も終え、全体的に少し落ち着いて情報収集できる時期ではないでしょうか。

今回は高圧一括受電契約と最高裁判例について、気になるニュースを読んだのでまとめていきます。

 

 

 

目次

マンション電力契約変更(高圧一括受電)に関する最高裁判例がでました

先に裁判の概要だけざっと書きますね。

 

戸数の多いマンションにおいて、マンション全体で高圧受電設備を導入し、格安な電力供給方式に変更する「高圧一括受電」方式の導入に関し、

一部の管理組合員(要は居住者)が現在の電力会社との解約手続きに応じず、「高圧一括受電」方式の導入が頓挫した事件(平成30年(受)第234号 損害賠償請求事件)がありました。

一審、二審判決では反対していた組合員2名に賠償を命じていましたが、平成31年3月5日、最高裁において、「管理組合決議の効力は専有部分には及ばない。現在契約している電力会社との契約を解約する義務はない」として、管理組合からの請求を退ける逆転判決を言い渡しました。

 

判決主文:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/462/088462_hanrei.pdf

 

どうして、裁判事例ってパッと見で頭が痛くなるんでしょうか。

たぶん民法上の文章が読みにくいからだと思います(宅建試験を思い出しますね・・・)

 

 

 

そもそも高圧一括受電って何?

高圧一括受電サービスがなにかを簡単に解説します。

まず、電力は大きな需要のある場所に対しては単価が安いプランを提供しています。

一般家庭や小さいマンションの共用部などには低圧系と呼ばれる電力契約を、

工場や大きなビルなどには高圧系と呼ばれる電力契約を結んでいることが多いです。

高圧系の契約をするためにはキュービクル(自家用電気設備)と呼ばれる機械が必要になります。

 

「電気代が安くなるなら、安いプランにしたい!」

皆様そう考えるのが普通です。

そのため、戸数の多いマンション(50戸~)全体で、低圧契約から高圧一括受電契約に切り替えよう!というのが今回の話や、上の裁判になった話につながります。

 

上でも書きましたが、高圧一括受電契約に切り替えるためには、キュービクル設備の導入が必須です。

 

何百万円の機械を導入し、法定点検として日々のメンテナンス費用も必要になります。そのため、一括受電サービス提供事業者が一旦、機械などの初期導入費用を肩代わりし、提供される高圧プランの電気代で一部マージンをとり、利益と費用を回収するビジネスになっています。

電気代での回収には長い期間がかかるため、通常10年~15年程度の電気提供契約がセットになっています。

 

 

高圧一括受電サービスの関係図

高圧一括受電 サービス説明図

料金としては高圧の安い電力プランに切り替えるため、低圧時に比べて共用部の電気代が10~40%程度削減されたり、選択プランによっては専有部も数%程度削減されることもあります。

 

マンション全体に関わることですので、管理組合で決議(組合員、議決権数各々の4分の3以上の賛成)し、

さぁ切り替えに向けて動こう!と決まったとします。

 

さて、ここで例の裁判の話が出てきます。

マンションの電気契約は専有部、いわゆる各お部屋の、個人が電力会社と結んでいる契約と

共用部分の、いわゆる管理組合と電力会社が結んでいる契約があります。

 

管理組合で決議しているわけですから、管理組合の電気契約は当然、準備に向けて切り替えが進みますが、

高圧一括受電は、各居住者の結んでいる低圧の個人契約もすべて「解約 → 高圧業者へ切り替え」の手続きが必要になります。

今回の裁判で、最高裁にて「管理組合の決議の効力は専有部分には及ばない。現在、契約している電力会社との契約を解約する義務はない」と判決が言い渡されています。

つまり、4分の3の方々が賛成されて、管理組合で決議されても、

全お部屋の方が電気会社の切り替えに納得しないと、高圧一括受電サービスは導入できません。

 

電力自由化以降、「携帯電話会社とセットで電気を契約しているから変えたくない」

など、いろいろな事情で、皆様ご家庭の電力会社を選んでいます。

わかりました!とすんなり電力会社を変えてくれないことが多くなってきているのです。

 

 

 

じゃあ、共用部を安い電気代にはできないの?

そこで第2案として登場するのが、

管理組合の契約している共用部分のみを新電力事業者へ切り替えて、

低圧のまま安いプランを導入するという案です。

 

弊社をはじめとする、電気小売サービスを検討し、

各お部屋の専有部の契約には一切関係なく、

管理組合の契約プランを見直すことによって、

共用部の電気代を5%~15%くらいの削減をすることが可能です(削減額は使用状況によって上下します)。

 

こちら別のページでも紹介している弊社の電気契約実績ですが、高圧が断念したとしても料金削減は可能です。

細かい切り替え事例はいろいろ載せていますので、ご興味があれば過去の投稿ページも御覧ください。

トライアス電気 削減実績の紹介

あまりここでトライアス電気のサービス紹介をだらだら書くと、最高裁判例の紹介という趣旨からずれるので割愛します。

 

まとめ

今回は「高圧一括受電契約と最高裁判決の紹介」というテーマでした。

もちろん、高圧一括受電の決議後、全員がすんなり賛成!という流れになれば良い話なんですが、電力自由化以降、以前より全員の同意が難しくなってきています。

なんとか費用の削減を考えている管理組合様、管理会社様、お気軽にご相談くださいね。

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

中谷
中谷
普段は賃貸不動産の管理業務を主軸に、ビルメンテナンス業務の改善提案、電気代やガス代の見直し提案しています。
マイベストプロ大阪でも紹介いただいています
【保有資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
2級FP技能士・基本情報処理技術者