汚水・雑排水・雨水の違いとは?排水管洗浄に「トイレ」が含まれない理由をプロが解説
マンションやビルのメンテナンス計画や、業者からの見積書を見ていると、「雑排水管(ざつはいすいかん)」「汚水管(おすいかん)」「雨水管(うすいかん)」といった専門用語をよく目にします。
特に雑排水管洗浄のご案内をさせていただく際、お客様から「一番汚れているイメージがあるトイレの清掃が含まれていないのはなぜ?」というご質問を頻繁にいただきます。
下水道への合流方式(合流式・分流式など)といった専門的な仕組みの違いもありますが、今回はビル・マンション管理の現場目線から、それぞれの水の違いと「なぜ雑排水管の清掃ばかりを行うのか」について分かりやすく解説します。
目次
1. 基本用語のおさらい:汚水・雑排水・雨水の違い
まずは、建物から排出される3種類の水の違いを整理しておきましょう。
雑排水(ざつはいすい)
台所のシンク、お風呂、洗面台、洗濯機などから排出される「し尿(排泄物)を含まない生活排水」のことです。毎日の生活で最も水量が多く、油分や洗剤などが混ざっているのが特徴です。
汚水(おすい)
トイレから排出される「し尿を含む排水」のことです。一般的に「一番汚い水」というイメージを持たれがちですが、成分の大半は水に溶けやすいものです。
雨水(うすい)
屋上やバルコニー、敷地内に降った雨水のことです。建物の外側に設置された雨水管や側溝を通って排出されます。
2. なぜ「トイレ(汚水)」は定期的な高圧洗浄の対象外なのか?
弊社の事業の一つである排水管高圧洗浄作業においても、基本的には「雑排水管」を対象とし、トイレ(汚水管)の洗浄は含みません。(薬剤投入による尿石除去・予防の作業はオプション対応で承っています)
これには大きく2つの明確な理由があります。
理由①:汚れの性質が「水溶性」で詰まりにくいから
トイレに流す排泄物やトイレットペーパーは、基本的に水に溶けやすく、砕けやすい性質を持っています。そのため、大量の水と一緒に流すことで管内をスムーズに移動し、途中で固まって詰まるというトラブルが構造上起こりにくいのです。
(※ただし、長期間まったく清掃していないトイレや、排水量が少ない環境などでは、「尿石(にょうせき)」という石のように硬い汚れが固着して詰まる例外的なケースはあります。)
理由②:トイレの構造上、洗浄ホースが奥まで入らないため
トイレの便器内は、下水からの悪臭や害虫が上がってくるのを防ぐため、排水口までの経路がS字などに複雑にカーブしています(封水トラップ)。
この複雑な構造により、物理的に高圧洗浄のホースを奥まで挿入することが非常に困難であり、無理に押し込むと便器そのものを破損させてしまうリスクがあるためです。仮に入ってもホースが引っかかって、抜けなくなるトラブルなども起こりえます。
3. 雑排水管の定期清掃が「絶対に必要」な理由
トイレが詰まりにくいのに対し、定期的な洗浄が絶対に欠かせないのが「雑排水管」です。その理由は、生活の中で流す汚れの性質にあります。
- キッチンの流し: 調理で使った食用油、肉や魚の脂、細かい生ゴミ、食器用洗剤など
- お風呂・洗面台: 髪の毛、皮脂垢、シャンプーやリンス、洗顔料、化粧落としなど
- 洗濯機置き場: 衣類の糸くず、洗濯洗剤の溶け残りなど
これらの汚れは「油性」のものが多く、冷えると固まり、管の内側にベッタリと張り付きます。
そこに髪の毛や糸くずが絡まり、時間が経つと石鹸カスなどと反応して白くて硬い汚れへと変化してしまうのです。
一度この状態になると、普段水を流すだけでは決して剥がれ落ちません。
放っておくと管が完全に閉塞し、悪臭の発生や、最悪の場合は汚水が室内に逆流・漏水する大事故に繋がります。
だからこそ、完全に固着してしまう前に、定期的な「雑排水管の高圧洗浄」で予防することが必須なのです。
4. まとめ:建物の資産価値を守る排水管メンテナンス
今回は、雑排水と汚水の違いや、定期清掃の対象について解説しました。
「トイレ(汚水)は水溶性だから詰まりにくい」「キッチンやお風呂の排水は油分で固まるから定期洗浄が必要」というポイントをご理解いただけたかと思います。
建物の見えない血管とも言える排水管。
定期的な高圧洗浄はもちろんですが、近年では館内の水道水そのものを「ウルトラファインバブル(UFB)」に変えることで、日々の生活排水で配管内の汚れを剥離・洗浄し、詰まりリスクとメンテナンスコストを大幅に軽減する最新の技術も普及し始めています。
排水管のしつこい汚れや悪臭にお困りの方、または長期的な修繕コストの削減(配管の延命など)にご興味があるオーナー様は、ぜひお気軽に弊社までご相談ください。
この記事を書いた人

- 普段は賃貸不動産の管理業務を主軸に、ビルメンテナンス業務のコスト改善提案、排水管洗浄や貯水槽清掃の費用見直し、ウルトラファインバブル設備の導入補助などの提案をしています。
マイベストプロ大阪でも紹介いただいています
【保有資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・賃貸住宅メンテナンス主任者
2級FP技能士・基本情報処理技術者










