新電力の会社が倒産・撤退した時は?なぜ倒産・撤退するの?

新電力の会社が倒産・撤退した時は?

先日、エルピオでんきの事業撤退のニュースがあり、本コラムもアクセス数が増加しておりますので、

最新情報にて追記、修正をいたします。

参考:エルピオでんき撤退の話

 

 

電力小売の全面自由化が2016年4月からはじまり、5年も経つと新電力会社の倒産・撤退が少しずつ表面化してきました。

電力会社が倒産・撤退した場合、契約していた方はどうなるのでしょうか。

きちんとされている会社は契約時に説明があったはずですが、改めてまとめてみます。

 

まず一般家庭向けの結論を書きます。

1:いきなり電気は止まりません。地域電力会社(関西電力㈱など)が一般プランの金額で供給します。

2:現在契約している電力会社から供給停止通知が届きます。

3:通知に書いている期限までに、地域電力会社を含め、どこか新しい電力会社と供給契約をする必要があります。

4:もし通知に書いている期限を無視して、どこかの電力会社とずーっと契約をしないままだと、最終的には電気が止まります

 

つまり、契約先の倒産・撤退を恐れる必要はありませんが、通知が来た場合は忘れずどこかと再契約してください。

 

※2022.3.30追記

個人向けは一般プランで問題なさそうですが、法人向けの高圧(工場など)契約は一部地域電力(東京電力様など)にて、一般プランへの切り替えを受け入れてもらえず、最終保障供給契約扱いとなり、割増契約を求められることもでてきているようです。

※2022.4.13追記

その他大手電力会社も含めて、法人向けは新規契約がかなり厳しくなったようです。

※2022.5.29追記

法人向けは最終保障供給契約に殺到という異常事態です。通常のプランでは新規契約を断られ、最終保障供給契約しかないという高圧電力ユーザーが多数出ている状況です。

※2022.6.23追記

誠に恥ずかしい話ですが、本記事を執筆している弊社も同じ状況に陥りました。電力難民の一人となっております。最終保障供給に移行しつつ、契約内容と金額が折り合う電力会社を模索している状況です。

 

 

 

最終保障供給契約について

 

最終保障供給契約の金額について

最終保障供給契約の推移

参考:経済産業省の資料「最終保障供給料金の在り方について」

 

一般的には割高のため、どことも契約していないユーザーへのペナルティ的な要素をもつ最終保障供給が、

逆に割安であったり、通常プランの新規契約が断られるため最終保障供給契約を契約するしかない、という異常事態になっています。

またこの1.2倍の料金でも電力会社側が赤字になるような状況もあり、最終保障供給の契約金額の見直し(値上げの方向)も審議が行われています。

今後の資源高や円安の動きによりますが、原子力発電所の即時再稼働でも起きない限り2022年は厳しいまま夏・冬を迎えそうです。

 

 

新しい契約をするときに必要な情報

1:現在契約している電力会社名や契約者名義、住所など

2:お客様番号

3:供給地点特定番号

通常、電力会社撤退のときは切り替え用の通知書面がくるはずですので、そこに必要情報の記載はあると思います。

もし記載がなく調べる場合は、契約している電力会社に問い合わせるか、毎月の請求情報に記載があると思いますのでご確認下さい。

紙で請求書を送らず、「Web上でログインして確認」などの会社も増えていますので、その場合はログイン情報が必要と思われます。

 

電力会社の倒産・撤退件数の増加の実態

【小売電気事業者の登録数】

小売事業者の登録数は増加を続けてきており、2021年6月末時点で727社。
一方で、事業承継は95件、事業廃止や法人の解散は38件となっている。

参考資料:経済産業省の2021年7月の資料

 

727社の中で、小売事業者登録だけして、実際にはエネルギー事業を行っていない会社も多数あります。

そんな中で、少しずつ撤退や事業を他社に受け渡すなど、小売事業から撤退する動きも増えてきています。

 

各社の事業見直しや撤退の動きが加速したのは、2020年12月から2021年1月にかけての市場電力価格の高騰問題が大きく影響しています。

電力小売事業の業界の仕組みとしての不安定さが浮き彫りになりました。

 

※2022.3.30追記

2021年10月頃からの燃料費高騰、冬の気温低下、ロシアとウクライナの情勢など、要因は色々ありますが、燃料費の高騰は収まらず、事業撤退する会社がさらに増加しました。

参考:新電力撤退関係 NHKニュースサイト

 

なぜ倒産・撤退することになるのか

自社電源(発電施設)を持たない新電力会社は供給量に応じた電力を電力卸売市場(通称:JPEX)から買います。

(自社電源を持っていても、供給量が足りていない場合は不足分を買います)

 

この卸売市場の価格は需要に応じて随時変動しており、真冬などで電力が逼迫すれば買いが上回り、どんどん電力価格が高騰していきます。

結果、2020年の年末ごろの厳冬とLNGガスの不足が重なったときは、価格が予想以上に高騰し、電力小売事業の大赤字が連発しました。

 

最もひどい時で、すごくざっくりと数字を置き換えると、

1Kwh30円でお客様に提供している電力プランだったとして、仕入れ原価の時点で250円払っている状態になりました。

電力が使われれば使われるほど、1Kwh220円赤字になります。

もちろ電力原価以外に事業運営コストはかかっていますから、実態はこれ以上に赤字です。

(同じざっくりした計算で、普段の冬ならば30円で提供していたとして、数円~10円程度の利益幅です)

電力卸売市場価格推移

 

電力の使用料の少ない春・秋の年間利益も含めて、全てが吹き飛ぶ大赤字になった企業も多かったと思われます。

 

この急激な逼迫と価格高騰はいくつか悪い要因が重なっており、再発しないとは言い切れないのが現状です。

 

※2022.3.30追記

予想通りというか、仕組みの変更よりも燃料費変化の方のスピードが早く、今年も撤退の企業が増えてきているようです。

元々新電力事業には多くの企業が参入し、パイの奪い合いをしているため、分が悪い企業は撤退の選択をする動きは変わらないと思います。

 

【今後について】

1:国として再生可能エネルギーの普及路線は加速する

→太陽光発電は日中しか発電せず、冬には日照時間が少なくなり、最もエネルギーを使用する厳冬にもっとも対応力が低いのが現実です。使用するエネルギーに合わせて発電量のコントロールができないのです。

 最もコントロールできるのは火力発電ですが、これらは国のエネルギー政策の方向性的には減らしていく様子です。

 つまり、予想外の電力需要時に対応できる力を残せるかどうかが再発防止のキーポイントです。長期固定電源としての原子力発電を今後どうするかという問題とも絡んできます。

 

 下記は需要に対して発電量(供給)が多すぎる時の調整イメージ図ですが、要は火力発電所の動かし方で調整をしている図です。

 

※2022.3.30追記

3月23日頃におきた、東京電力の電力逼迫も絡みますが、ベースロード電源をもう少し余裕のあるかたちで運用する国としての施策がほしいところです。

発電調整

参考:経済産業省の出力制御について

 

2:LNGガスの仕入れコントロールが解決したとは言えない

→今回の事件の要因の一つはLNGガスが足りなくなったことです。

 中国が同じ時期に厳冬になった影響やコロナウイルスの影響など、世界各国が必要とすれば取り合いになり、価格も量も日本が自由にコントロールできるわけではないため、再度LNGガス枯渇からの電力逼迫の恐れはあります。

 また必要になってから急に用意できるものでもありません。最短30日程度のラグがあります。

 

 もちろん、今回の事件をもとに国もエネルギー資源のコントロールに向けて、再発防止の話し合いが加速するようですので、その動きに期待しています。

 

実際に撤退を表明している企業の参考例

・ファミリーエナジー

2021年8月4日に破産手続きを開始。

・フェニックスエナジー

2021年7月21日に破産手続きを開始。

・ジャパンベストレスキューシステム

2021年9月末で小売事業から撤退。

・F-Power(エフパワー)(ピタ電含む)

2021年3月30日に会社更生手続き開始決定のお知らせ発表(再建対応中)

・AG Energy株式会社(AGエナジー)

2021年3月末で事業撤退。

・あくびコミュニケーションズ株式会社(AKUBIでんき)

2020年2月下旬で破産手続きを開始。

・日本ロジテック協同組合

2016年2月下旬で破産手続きを開始。

・大東エナジー(いい部屋でんき)

2017年11月に事業撤退。

・福島電力

2018年8月上旬で破産手続きを開始。

 

ざーっと書いてますが、多くの事例は共通しています。

電力卸売市場からの仕入れを主とし、薄利で供給するビジネスで、利益を確保するために多売先行で動いた結果、価格急騰に耐えきれず破産もしくは撤退。

 

福島電力の場合は特殊で、全国の不動産仲介業者を窓口にシェア拡大した結果、新規契約と解約のオペレーションが間に合わなくなり、請求業務に支障が出てトラブル多発 → 破産。

 

つまり、生き残っている企業は電力仕入れ先の安定化に向けて動いています。

 

今後の各社の動き予想

ここからはあくまで予想ですが、電力小売各社が急騰対策をどう講じていくのかという話になります。

 

1:発電施設の建設や発電施設の買取で、自社電源を確保する。(企業体力のあるところ、規模の大きいところ以外困難)

2:発電施設を持っている大手と電力の相対契約を締結し、卸売市場外での電力を確保する。(これが最も現実的だが、最も多くの会社が行おうとするため原価が高止まり・・・? 価格変動の影響を少なくできる)

3:赤字提供もしくは利益の薄い電力契約先に、値上げもしくは契約継続をしない話をする。(利益率の確保)

 

つまり、仕入れ金額の安定化もしくは、供給先の選別をしていくことになると思われます。

経済産業省資源エネルギー庁の会議で価格高騰問題の再発防止は話し合いが続けられていますので、高騰時のルールの改善に向けてどんどん進展していくことを願っています。

最終保障供給が現状のまま動いている間に、電力供給安定化のための施策を国として動いていただきたい思いです。

 

この記事のまとめ

1:企業も家庭も電力会社から事業撤退や供給停止の連絡がきた場合は、停電はしないけれど期日までにどこか別の会社と契約し直す必要があるので注意。書面みて放置は厳禁です。

2:倒産・撤退企業は今後もゆるやかに増加する傾向(電力小売ビジネスとしての不安定さが昨年末で露呈。今年度冬も変動が激しい予感)→季節要因よりもロシア・ウクライナ戦争及び円安により、予想以上の速度で進んでいます。

3:継続していく企業は電力仕入コストの安定化を目指すと思われる

4:資源エネルギー庁の動きによって状況、仕組みが変わるので随時アンテナをはっておく必要がある

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

中谷
中谷
普段は賃貸不動産の管理業務を主軸に、ビルメンテナンス業務の改善提案、電気代やガス代の見直し提案しています。
マイベストプロ大阪でも紹介いただいています
【保有資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
2級FP技能士・基本情報処理技術者