空室対策とは何か?具体的な方法の前に考えるべきこと

不動産投資は事業であり経営です。

不動産を持ったから、買ったときの利回り計算通りにお金が入ってくるものではなく、

外部環境の変化や時間経過によって、どんどん状況が変わります。

 

例えば、物件は何も変化がなくても、近所に大型ショッピングモールが建てば借りてもらいやすくなるでしょうし、逆にそういう施設が撤退すれば厳しくなります。

学校区が強みで高い賃料で貸せていた物件が、学校の不祥事で不人気化する可能性もあります。

近い話だと、大学や企業の撤退などで一気に需要減のエリアができることもあります。

 

空室が出て長期間になる場合、何をしたら良いかわからず、

お金のかかる提案を受け入れるべきなのか悩むオーナー様は多いと思います。

 

この記事は具体的な対策方法はこれ!というよりも、

一度頭をリセットして、順番に考えていただけるようなコラムになれば幸いです。

 

空室対策は物件ごとに答えが異なります。まずはどこから考えるべきかを意識してみてください。

 

 

空室対策とは

空室対策とは、賃貸物件の入居率100%を目指すための努力です。

なにかお金をかけることだけを対策にしがちですが、管理会社担当とコミュニケーションを密にすることだって空室対策の一つです。

既存の入居者の不満を解消し、入居期間を伸ばすことも空室対策です。

リフォームやリノベーション、設備の更新、賃料の調整、仲介業者への広告料増額・・・色々思い浮かぶことはあると思いますが、一度何ができていて、何ができていないかを整理しましょう。

 

そもそも、空室とは何でしょうか。

最初に不動産は事業と書きましたが、

他のビジネスとして考えたときは、空室とは仕入れたけれど売れていない商品在庫に近いような気がします。

 

売れていない商品在庫を持っているビジネスマンとして考えたときに

1:そもそも仕入れた商品自体がお客様に求められてないもの

2:仕入れの数がお客様の数に対して過剰

3:他社製品と比べて販売価格が高い

4:お客様に製品を販売している情報が届いていない

・・・など、色々な理由が考えられると思います。

 

お持ちの物件に当てはまりそうな話に書き換えると・・・

1:築浅がどんどん建つエリアでの特徴のない築古物件

2:1R1Kが過剰に建ち並んでいるエリアでの狭めの1R

3:賃料設定、初期費用設定が似た物件と比べて高い

4:募集資料が客付け仲介会社に周知されていない

ざっと書き換えるとこんな感じでしょうか。

 

空室対策!より、手持ちの商品を売る方法として考えた場合、多種多様なことができると思いませんか。

そもそも売る商品が悪すぎて、下手にその商品を売りつけようとするより、違うものを仕入れなおした方が早い可能性だってあります。(損切りしてでも売って、別の物件をきちんと精査して買うほうが良いパターン)

 

もちろん既に買ってくれている方(つまり入居者)の満足度を向上させ、長期間リピーターになってもらうことも空室対策の一つと言えるでしょう。

リフォーム・リノベーションや広告料増額だけが空室対策ではないのです。

 

空室対策を考える前に考えるべきこと

では実際にどう考えていくべきなのでしょうか。

 

商品販売として考えた場合、まずどんなお客様ならその商品に興味を示してもらえるかを考えると思います。

タピオカジュースを通りすがりの高齢者に売りつけようとしても、単純に値段を下げても難しいでしょう。

 

つまり、物件に置き換えると、まず行うべきは入居者のターゲット設定です。

「自分のお部屋をどういう人にとって一番良い!と思ってもらえる部屋にしたいか」です。

 

「みんなに嫌われない物件」ではなく、

「ターゲットに好かれる物件」を意識して費用対効果の良い改装や設備投資を行いましょう。

 

ターゲット設定について

1R物件だからターゲットは単身入居者!ではありません。

 

仮に単身入居者でも、

・男性か女性か

・社会人か学生か

・契約者は法人か個人か

・20代か50代か

・その物件に住んでどんな生活を送るのか

・賃料の総額予算はどのくらいか

 

こういったことを考えてみてください。

 

仮に「近隣の大学に通う仕送りで住居費を払っている女子大生」がターゲットであれば、

アクセントクロスも地味な柄より、派手な柄が好まれるかもしれません。

室内設備の充実度より、オートロックや防犯カメラが充実している方が、内見に同行するご両親が納得して借りやすいかもしれません。

 

仮に「20代新社会人の、中堅以上の法人に勤める男性」がターゲットであれば、

インターネット無料物件が必須条件であったり、敷金や礼金は会社補助規定額までは多かろうか少なかろうがどうでも良くて、

近くにスーパーよりコンビニがあることを好み、オートロックなどは気にしていないかもしれません。

 

仮に「少し都市部から離れた場所で、お手頃な2LDKを探している子育て世帯」がターゲットであれば、

駐車場はあった方が良いなぁとか

スーパーが近いと便利だなとか

お子様の年齢によっては学校区をウリにできるとか

キッチンのデザインだけでもダイノックシートでおしゃれにしていたら選ばれるかもとか

小動物限定でペット可物件にしてみるとか

治安の良し悪しを気にするなら、共用部やゴミ置き場、ポスト周辺を他よりきれいにしていると選ばれるかも

とか、色々考えられます。

 

もし駐車場が仮に物件敷地内になくても、近隣で月極募集をしている情報調べて、客付け仲介会社に伝えれば、借りてもらえるかもしれません。

 

ターゲットによって物件を探すときに気にする条件が異なることが伝わりますでしょうか。

 

もちろん上記の話はすべて例え話なので、物件ごとに状況は異なります。

ご自身の物件を元に、既存の入居者からヒントを得て、ターゲット設定を考えてみてください。

 

ターゲット設定をすることの良さがもうひとつあります。

ターゲットが好まないことに予算を割く必要がなくなり、好むものに集中できることです。

これが結果的に物件の差別化と収益性の向上に繋がります。

 

立地だけで戦える部屋は極論、あまり設備投資をしなくても賃料設定だけで埋まります。

中途半端な物件ほど、皆に嫌われない投資をして、誰からも好かれない物件になりがちです。

 

まずリフォームをするべきかどうか、よりもターゲットならどう考えるかを考えてみてください。

 

自分がターゲットの属性になったつもりで、物件のあるエリアの空室検索をしてみる

次に、イメージしたターゲットの気持ちになって、物件のあるエリアで部屋探しをしてみてください。

こっちの方に住みたい!とか、全部叶えようとすると賃料が高くて、予算内ならここ!とか色々出てくると思います。

 

そういうイメージを持って、管理会社(客付け仲介会社)と今後の対策を相談しましょう。

事前にそういう選ばれるためのイメージがない場合、どうしても管理会社に誘導されます。

 

近年はホームズやスーモといった、物件ポータルサイトで事前に入居者は自分で部屋探しをします。

それらのポータルサイトには検索条件が多様にあり、例えば「バス・トイレ別」を条件に選ばれる方は3点ユニットの部屋が表示されなくなります。

 

※SUUMOの検索画面より引用

 

まず、今の物件の条件を入力してみて、他物件と比べて住みたいかどうかを考えてみてください。

空室期間が長い以上、そのエリア全体的にお客様がいないか、お客様はいるけれど選ばれていないかのどちらかです。

 

見つけた競合している物件と比較して考える

絶対にここにしかないオンリーワンの物件です、ということを伝えられる物件はほぼありません。

分譲マンションの賃貸募集で、高級分譲物件が数少ないエリアなどは実際にあるため、まったくないとも限りませんが、

空室対策で悩む方のお部屋は基本的に差別化が難しい物件だと思います。

 

ターゲットになった気持ちで、「自分の物件よりこっちの物件の方を選ぶかな・・・」という場合は、

そこに物件にあって自分の物件にないものを考えてみてください。

割安さ、であれば初期費用や賃料設定の見直しが最も近道かもしれません。

キッチンの新しさであれば、設備交換か扉面だけでも張替えできれいにすれば選ばれるようになるかもしれません。

 

「大きな違いがない、こっちの物件で決まって、うちの物件が決まらないのはおかしい!」という場合は、客付け仲介会社への物件情報提供頻度が少ない可能性もあります。

客付け仲介会社が空室の存在を知らなければ、お客様にも紹介してくれません。

 

その場合は管理会社が専任媒介であるならば、ちゃんと動いてくれそうな担当者とコミュニケーションを密にしてください。

専任ではないならば、いろんな不動産仲介会社に物件情報を提供して回ってみてください。

そこで可能なら信頼できそうな担当者を見つけて、今後の対策を相談できるとより良いでしょう。

 

空室対策の3つの大きな区分け

ここからは具体的な対策をざくっと区分けして紹介します。

どれが推奨というわけではなく、物件とターゲットを意識して考えましょう。

またこれらの対策と別に、募集物件をきちんと客付け仲介会社にアピールすることは大前提としています。また、こんな人(ターゲット)に刺さる物件を目指してこうしている(こうしたい)を伝えることも大事です。

お金のかからない方法として、周辺地域の良いポイントをまとめて、物件情報と一緒に渡すなども地味ですが効果的です。

すべての仲介担当者が物件周辺に詳しいわけではありません。

 

1:入居希望者の費用を抑える・募集条件を緩和する

・敷金礼金などの、初期費用を減額する

・賃料を中心として、毎月かかる費用を減額する

・フリーレント条件をつける(一定期間賃料を免除する)

・仲介業者に支払う広告料を増額する

・募集条件を緩和する

(例:保証人の有無、ペットの可否、単身高齢者、収入証明の出ない方、外国人など)

 

これらは最初に費用が出ていかない代わりに、リスクが多めです。

 

2:改装・設備を導入する

・古い設備や内装を取り替える程度の改装(リフォーム)を行う

・間取り変更を伴うような大掛かりの改装(リノベーション)を行う

・今までつけていなかった設備を導入する

(例:エアコン、追いだき機能、オートロック、インターネット無料、モニター付きインターホン、宅配ボックス、システム(カウンター)キッチン、室内洗濯機置場)

 

これらはターゲットをきちんと考えて行うことと、

利回りと初期投資金額を考えて行うことが大切です。

多くの人に避けられる3点ユニットバスのバス・トイレ分離工事は効果的な空室対策ですが、

投資金額を回収できる期間を考えると、物件によっては素直に賃料や初期費用を下げて空室を埋める方が良い場合も多々あります。

 

下記は2021年での人気の設備ランキングをまとめてみた記事です。参考にお使いください。

 

3:建物の外観・共用部を整える

これは1棟の場合の対策ですが、建物の外観や共用部で敬遠されることもあります。

・オートロックの設置

・防犯カメラの設置

・モニター付きインターホンに取り替え

・照明の明るさを増やしたり、暗そうな場所にセンサーライト設置

・共用部やゴミ置き場の清掃をこまめにする

・外壁塗装の際にカラーリングでおしゃれな外観にする

 

空室期間が長いことは苦しいですが、不動産投資は事業です。物件を買って終わりではありません。

ターゲットに好まれる物件を目指して、初期投資金額や収益金額と相談しながら満室を目指しましょう。

 

この記事のまとめ

空室期間が長くなってきた場合、まず入居者のターゲットを考えましょう。

ターゲットに合わせた改装・設備投資を行うことによって、選ばれる物件になります。

みんなに好かれるではなく、この人には好かれるを目指しましょう。

また、信頼できる仲介担当者と仲良くなり、物件の周知活動を行うことも大切です。そもそも紹介されていないかもしれません。

 

最後までお読みいただきありがとうございました。

この記事を書いた人

中谷
中谷
普段は賃貸不動産の管理業務を主軸に、ビルメンテナンス業務の改善提案、電気代やガス代の見直し提案しています。
マイベストプロ大阪でも紹介いただいています
【保有資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
2級FP技能士・基本情報処理技術者