分譲マンション共用部の電力会社切替について(FAQ形式で)
アクセスありがとうございます。
分譲マンション共用部の電力会社切り替えについて、まとめていきます。
下記以外のご質問があれば、お気軽にご相談ください。
目次
分譲マンションの電力会社切り替えに関してよくある質問を先にまとめます
- 電力会社切り替えって、そもそもどういうことでしょうか?
- 参考:経済産業省の解説ページ
今までは地域の電力会社(関西なら関西電力㈱など)に契約先が縛られていましたが、自由な契約先を選べるようになりました
国の狙いとしては市場競争が行われることよって消費者コストが削減されることです
また、電力の安定化のために、一部エリアで電力が逼迫(ひっぱく)したときに融通できるような規制緩和も含まれています
- 停電が増えたり、電気が不安定になったりしませんか?
- しません。電気を送る電線や設備はこれまで通り、地域の電力会社(関西なら関西電力㈱など)の設備が使われます
電気事業法で定められており、万が一トラブルが起きた場合でも、これまで通りの送配電事業者(関西であれば関西電力送配電)がメンテナンスや復旧作業を行います。停電になったり供給が不安定になったりすることはありません
メンテナンスの費用は全電力会社が送配電事業者に支払うルールになっています
参考:経済産業省の託送料金の解説ページ
- 共用部の電力会社を切り替えることのメリットはなんですか?
- 使う方(分譲マンションの場合マンション管理組合)の電気料金が安くなることです
その他、個人宅の契約などでは携帯電話料金のセット割りなどを行っている会社もありますが、共用部の電気契約(管理組合名義)ではそういったサービスはほぼありません
価格と契約縛りのバランスで決めましょう
- 電力会社を切り替えることのデメリットはなんですか?
- 一度契約した安い金額が永年続くとは限りません
大手電力会社であっても、値上げ値下げなどの可能性は元々あります。原子力発電所が稼働したり止まったり、消費税が変わったり・・・など
値上げなどが発生した場合は、他電力会社との見積もり取得・比較作業などを必要に応じて、その都度行う必要があります
また、契約プランによっては契約期間の縛り(3年間契約で短期解約となった場合は違約金発生)などがある可能性があります
※解約違約金を設定している会社は少ないです
- どんなマンションでも切り替えられるの?
- 基本的にできますが、現在の状況の確認が必要です
電力契約には大きく分けて2つの種類があり、高圧契約と低圧契約があります
高圧契約には建物に変圧器(キュービクル)という設備があり、電力契約も10年などの長い期間で縛られていることがあります
さらにその電力契約に変圧器のメンテナンスとの紐づきがあることも多く、きちんと現在の状況を確認して切り替えを考える必要があります
低圧契約は個人宅の電気と似たようなものなので、気軽に切り替え検討が可能です
- 手続きはどうやって進めるの?
- 管理組合様にて、毎月支払いしている電気料金の明細を元に、電力会社に試算を依頼します
試算結果を元に、契約条件の確認を行い、理事会で決議してすぐ変更する管理組合もあります
総会決議までかけて、総会での賛成を元に切り替える管理組合もあります
- 関東のマンションでも関西の電力会社と契約できるの?
- 一般的にはできることが多いです。電力会社ごとに対応エリアが異なりますが、全国対応(沖縄除く)という会社が多いです
送配電はこれまで通りなので、あくまで料金計算会社が変わるとお考えください
共用部の電力会社変更を検討するには、どうしたら良いか
分譲マンションの共用部の電気切替にはまず、現状を知ることが必要です。
例外はありますが、基本的に一人で決めることはできず、管理組合としての話が必要になります。
1:今の電気契約が高圧契約か低圧契約かの確認
2:高圧契約の場合、キュービクル設備設置の際に電気の供給会社が契約上縛られていることが多いため、契約書の確認が必要(一般的に縛りが生じる期間は10年程度ですが、場合によっては違約金が発生する話ですので必ず確認してくださいね)
2’:低圧契約の場合は契約年数縛りが発生する新電力をお使いの場合を除き、原則、切り替えに対して縛りはありません
3:切り替えに問題がない場合、管理組合にて切り替え検討。削減額見積もりをとって話し合いなど
4:自主管理か管理会社が入っているかによっても変わりますが、理事会承認でサッと切り替えるところもあれば、理事会承認から、総会の議題に上げて、総会承認の後に切り替えるところもあります
※高圧の場合は、キュービクルを点検している主任技術者のお名前が必要だったりしますが、細かくいろんなパターン書くと脱線するので、また別の機会に。詳しくお話聞きたい方はご相談ください。
長くて、提案から切り替えまでタイミングによっては1年かかります。
総会決議が終わった直後に議案として上がった場合の話ですが…。
簡潔にまとめると、契約者が一人という賃貸ビルやマンションオーナー、店舗と違い、分譲マンションの場合は複数人の承認を得ないといけないという話ですね。
実際に電力会社を切り替えた事例のご紹介-分譲マンション共用部 低圧系の電力
今回は兵庫県神戸市の分譲マンション共用部、低圧系電力を新電力に切り替えした実例をご紹介いたします。
【物件概要など】
9階建て分譲マンション。エレベータあり。
新電力としてのトライアス電気の提案前に、少しでも安く、と関西電力様の従量電灯からeスマート10に変更をされておりました。
管理会社の方に説明をして、管理組合への提案を行っていく流れになりました。
【年間使用料】
低圧電力:年間で約32万円
eスマート10:年間で29万円
過去記事で紹介したような高圧系と比べると違いがよくわかると思います。
【実際の切り替えまでのスケジュール】
お見積り依頼:11月上旬
理事会へのお見積提出とご説明:12月
一度、前向きな検討をしつつ、総会まで遠いので中断
理事会承認、および総会承認:翌年4月~6月
電力会社の切り替え手続き後、トライアス電気開始日:7月13日
初請求書送付:9月20日頃(7~8月分使用料の請求)
【トライアス電気での削減額】
年間約55,000円の削減になりました。約9%の削減です。
これはあくまでも一例としての紹介です。
各マンション様が経費削減に成功されることを祈っております。
まとめ
今回は「分譲マンション共用部の電力会社切り替えはどうやったら良いの?」という話でした。
長々書くより、FAQ方式の方がわかりやすいかと思いFAQ方式で書いてみました。
管理組合様の疑問が解消されれば幸いです。
高圧と低圧、管理会社主体か、自主管理かなど分譲マンションは様々なケースがあります。
今回はざっくりとした話だけになっています。
また、マンション管理会社によっては(自社が儲かる話でもないから)面倒なので切り替え提案したくないという対応のところもあり、ご自身のマンションの管理組合や管理会社に対して、住民から積極的なアプローチが必要な場合もあります。
最後までお読みいただきありがとうございました。
この記事を書いた人
- 普段は賃貸不動産の管理業務を主軸に、ビルメンテナンス業務の改善提案、電気代やガス代の見直し提案しています。
マイベストプロ大阪でも紹介いただいています
【保有資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士
2級FP技能士・基本情報処理技術者
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