【ビル・マンションオーナー必見】貯水槽清掃の完全ガイド:費用相場・法定義務から業者の選び方まで解説

ビルやマンションの資産価値を維持し、入居者に安全な水を提供するために欠かせない「貯水槽清掃」。

しかし、「どれくらいの費用が適正なのか」「法的にどのような義務があるのか」など、疑問を持つオーナー様も多いのではないでしょうか。

本記事では、貯水槽の基礎知識から費用相場、失敗しない業者の選び方まで、建物メンテナンスのプロの視点から分かりやすく解説します。

1. 受水槽と高架水槽の違いとは?仕組みと役割

貯水槽(給水設備)には、大きく分けて「受水槽」と「高架水槽」の2種類があります。

まずはそれぞれの役割と違いを理解しておきましょう。

受水槽(じゅすいそう)

  • 設置場所: 主に建物の1階や地下、または屋外の敷地内。
  • 役割: 水道局から供給された水を一時的に貯めるタンク。

高架水槽(こうかすいそう)

  • 設置場所: 建物の屋上や高所。
  • 役割: 受水槽からポンプで汲み上げた水を貯め、重力を利用して各部屋(専有部)へ安定した水圧で給水するタンク。

 

受水槽と高架水槽の仕組み 引用元ソース: 積水工業株式会社

 

※建物の規模や給水方式によっては、受水槽のみで高架水槽がない場合(直結増圧方式など)もあります。

2. 貯水槽清掃の法定義務とオーナー・管理会社の責任

貯水槽の衛生管理は、法律によって義務付けられています。

怠った場合は罰則の対象となるだけでなく、入居者の健康被害に繋がるリスクがあるため注意が必要です。

  • 有効容量が10立方メートルを超える場合(簡易専用水道): 水道法により、「年1回以上の定期清掃」「厚生労働大臣の登録を受けた検査機関による検査(簡易専用水道検査)」が義務付けられています。
  • 有効容量が10立方メートル以下の場合(小規模簡易専用水道など): 水道法の直接の対象外となる場合でも、各自治体(大阪市など)の条例によって同様に年1回の清掃や適切な管理が義務付けられているケースがほとんどです。
  • 未実施のリスク: 水質の悪化(赤水、濁り、雑菌の繁殖)が発生した場合、建物のオーナーや管理会社が損害賠償責任を問われる可能性があります。

貯水槽の図

画像引用元:東京都水道局ホームページ

3. 貯水槽清掃の費用相場(規模・容量別の目安)

清掃費用は、主に「タンクの容量(立方メートル)」や「受水槽・高架水槽の有無」によって決まります。一般的な市場相場の目安は以下の通りです。

対象設備タンク容量の目安費用相場(年1回あたり)
小規模ビル・マンション(受水槽のみ)1~10㎥約40,000円 ~ 60,000円
中規模マンション(受水槽+高架水槽)10㎥ ~ 20㎥約60,000円 ~ 90,000円
大規模ビル・マンション20㎥以上約90,000円 ~ 要見積もり

※上記はあくまで基本清掃料金の目安です。高所作業が必要な場合や、土日夜間指定、駐車スペースの有無などによって変動します。

※清掃とセットで実施することが多い、11項目水質検査が費用に含まれているかは企業ごとに異なります。

4. 貯水槽清掃見積もりの正しい見方とチェックポイント

業者から提示された見積書をチェックする際、金額だけで判断するのは危険です。

以下の項目が適切に含まれているか確認しましょう。

  • 基本清掃費: 受水槽・高架水槽それぞれの清掃作業が含まれているか。
  • 水質検査費: 清掃後の水質検査(11項目など)の費用が込みになっているか(別料金になっているケースに注意)。
  • 写真つきの作業報告書の有無: 清掃後に報告書が提出されるか。できれば周辺のポンプ型番などもまとめてもらっておくと、トラブル時に助かります。
  • 【プロの視点】: 「諸経費」や「一式」という表記で高額な費用が計上されている場合は、その具体的な内訳(車両費、出張費、機材搬入費など)を確認することをおすすめします。

5. 失敗しない貯水槽清掃業者の選び方

安心して管理を任せられる優良業者を選ぶための基準は以下の3点です。

  • しかるべき資格・登録があるか: 都道府県知事の「建築物飲料水貯水槽清掃業(いわゆる物確登録)」の登録を受けている業者、および「貯水槽清掃作業監督者」が在籍しているか。
  • 写真付きの「作業報告書」を提出してくれるか: 清掃前(Before)と清掃後(After)の写真、および水質検査結果をまとめた詳細な報告書を提出してくれる業者は信頼性が高いです。
  • 不具合発見時の提案力: 清掃時にタンクのひび割れや電極棒の錆などの異常が見つかった際、迅速に修繕の見積もりや補修方法(FRP補修など)を提案してくれる、ビル管理全般に強い業者が理想的です。マンホールパッキンや、ボールタップの劣化も早めに申告して予防交換しておくと、漏水トラブルを避けたりすることが可能です。

6. まとめ:長期的なコスト削減には「配管・水質の根本対策」も視野に

貯水槽の年1回の清掃は法定義務ですが、それだけでは建物全体の給水管の劣化や赤水・詰まりのリスクを完全に防ぐことはできません。

近年のビル管理では、ただ掃除をするだけでなく、水を根本から変えて配管を保護する「ウルトラファインバブル(UFB)」技術などを導入し、赤水対策や配管の延命(メンテナンスコスト削減)を同時に実現させて資産価値を高めるオーナー様も増えています。

当サイトでは、大阪エリアを中心にビル・マンションのメンテナンスについての各種お悩み相談対応、改善のご提案をしています。

貯水槽清掃の見直しや、長期的な維持管理コストの削減についてお悩みの方は、ぜひお気軽にご相談ください。

 

 

この記事を書いた人

中谷
中谷
普段は賃貸不動産の管理業務を主軸に、ビルメンテナンス業務のコスト改善提案、排水管洗浄や貯水槽清掃の費用見直し、ウルトラファインバブル設備の導入補助などの提案をしています。
マイベストプロ大阪でも紹介いただいています
【保有資格】宅地建物取引士・賃貸不動産経営管理士・賃貸住宅メンテナンス主任者
2級FP技能士・基本情報処理技術者